『磁性体材料とスピンエレクトロニクス―電子情報通信機器への展開―』増補改訂版 2005年1月 発行 B5版 約400頁 定価 26,000円(税別・送料別) ■刊行主旨■ 現代のエレクトロニクスと情報技術の驚異的な発展は、プロサッサーとRAMに使われる半導体と大容量メモリーに使われる磁性体によって支えられています。その発展は、材料合成技術、薄膜技術、超微細加工技術よって指数関数的な規模の拡大を見ております。また、各プロセス技術の発展によって、半導体・磁性体の二大領域の間に電子の電荷とスピンを利用するスピンエレクトロニクスと言われる新しい領域が生まれつつあります。 本書は、磁性材料に関する技術解説を、旧版以降これまでに月刊「マテリアルインテグレーション」に掲載された記事を中心に新しく加え、再編集し、劇的な発展と変化を捉えた書です。 Contents 第1部 磁性体材料の応用 第1章 通信用磁性材料 第1節 マイクロ波用フェライト (住友特殊金属(株) 研究開発センタ セラミックス研究グループ 島田 武司 ほか) 1 はじめに 2 六方晶型フェライト材料 3 静磁波デバイス 4 フェライトを用いたコンポジット材および薄膜 5 通信用デバイス 6 研究動向 7 まとめ 第2節 積層型チップフェライト (TDK(株) 基礎材料研究所 中野 敦之) 1 はじめに 2 積層型チップフェライト部品の説明及び技術動向 3 低温焼結NiCuZnフェライト材料の研究開発 3.1 高特性化へのフェライト調製 3.2 フェライトの原料不純物の影響(アニオンの影響) 3.3 フェライトの原料不純物及び添加物の影響 3.4 フェライトへのAg内部導体応力及びAg拡散 3.5 フェライトへの微細構造 4 チップ構造の研究開発 4.1 大電流化 4.2 高直流重畳化 5 他のフェライト系の研究開発 5.1 低温焼結六方晶フェライト(フェロクスプラナー) 5.2 低温焼結MgCuZn フェライト 6 おわりに 第3節 チップインダクタ用フェライト (TDK(株) 基礎材料研究所 取締役基礎材料研究所 野村 武史) 1 はじめに 2 積層型チップインダクタ 3 チップインダクタ用磁性体材料と内部導体材料 3.1 磁性体材料 3.2 内部導体材料 4 チップインダクタの高性能化 4.1 Ag内部導体によるマクロ的残留応力 4.2 ミクロ的残留応力 5 おわりに 第4節 レーザ加工超小型積層チップインダクタにおける高精度印刷技術 (太陽誘電(株) 総合研究所 研究員 井上 泰史 ほか) 1 はじめに 2 レーザ加工法 3 高精度印刷 3.1 実験方法 3.2 実験結果 4 積層チップインダクタへの応用 5 おわりに 第2章 メモリー用磁器材料 第1節 フロッピーディスク (TDK(株)記録メディア事業本部技術統括部デジタルメディア開発プロジェクト 青山 勉) 1 はじめに 2 FDの大容量化 3 ディスク媒体 3.1 磁気特性 3.2 塗膜構成 4 ヘッド 5 ヘッドディスクインターフェース(HDI) 6 トラッキング方式 7 むすび 第2節 磁気ディスク技術の展望 (NEC 機能エレクトロニクス研究所・記憶研究部長 田上 勝通) 1 はじめに 2 磁気ディスク装置の動向 3 磁気ディスクの技術トレンド 3.1 磁気ディスク媒体 3.2 磁気ヘッド 3.3 ヘッド・ディスク・インターフェイス技術 3.4 ヘッド位置決め技術 3.5 信号処理技術 4 磁気ディスクシステム 5 むすび 第3節 超薄膜作成インラインディスクスパッタ装置 (日電アネルバ(株)電子部品装置事業部第三技術部 主任 渡辺 直樹) 1 はじめに 2 磁気ディスク技術課題 3 磁気ディスクの構造 4 磁気ディスクスパッタプロセス技術 5 スパッタ装置成膜方式の比較 6 実際のインラインスパッタプロセス 7 光磁気ディスク市場動向 8 光磁気ディスクスパッタプロセス技術 9 光磁気ディスク量産用スパッタ装置 10 まとめ 第4節 光メモリー用材料 −光磁気材料を中心として− (三菱化学(株) 横浜総合研究所 光情報研究所 主任研究員 小林 敏裕) 1 はじめに 2 光磁気材料 2.1 原理 2.2 最近の動向 3 相変化および色素材料 3.1 相変化材料 3.2 有機色素材料 4 まとめと今後の動向 第5節 光磁気記録の高密度化技術 (日立マクセル(株)技術研究所 島崎 勝輔) 1 光磁気記録の動向 2 光磁気記録の高密度化技術 3 光磁気多値記録の基本原理 4 磁界変調4値記録実験 5 記録レベル間の独立遷移 6 微小磁区記録実験 7 まとめ 第6節 磁気的超解像記録媒体の開発 (奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 知能物質科学講座 客員助教授 高橋 明) 1 はじめに 2 GdFeの磁気特性 3 測定結果と考察 4 まとめ 第3章 磁磁性規則合金ナノ粒子の創製 第1節 強磁性規則合金ナノ粒子2次元分散膜の創製と機能 (大阪大学産業科学研究所 佐藤 和久) 1 はじめに 2 方位配向FePt,FePdナノ粒子2次元分散膜の作製 3 方位配向FePtナノ粒子の規則化過程と硬質磁性発現 3.1 規則構造と規則化過程 3.2 規則化に伴う硬磁気特性発現ならびに粒子サイズ効果 4 方位配向FePdナノ粒子の構造・硬磁気特性 5 まとめと今後の展望 第2節 磁磁性規則合金ナノ粒子の創製と硬質磁性 (大阪大学産業科学研究所 佐藤 和久) 1 はじめに 2 エピタキシャル成長を利用した方位配向磁性ナノ粒子の作製 3 方位配向FePtナノ粒子の規則化過程と硬質磁性発現 4 方位配向FePdナノ粒子の構造と硬質特性 5 まとめ 第4章 電磁波吸収材料 第1節 希土類−鉄−ボロン系化合物のマイクロ波・ミリ波帯電磁波吸収材料への応用 (東北大学大学院 工学研究科 材料物性学専攻 助教授 杉本 論) 1 はじめに 2 電磁波吸収体の分類 3 電磁波吸収体の評価 4 R2Fe14B化合物を利用した電磁波吸収体 第2部 スピンエレクトロニクス 第1章 総説 第1節 スピンエレクトロニクス (東北大学 電気通信研究所 教授 大野 英男) 1 情報エレクトロニクスを支える半導体と磁性体 2 磁性体スピンエレクトロニクス 2.1 磁性体における電気伝導の研究が新しい磁気ヘッドを実現した 2.2 磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM) はユニバーサルメモリ 2.3 半導体集積回路にインテリジェントなスピンエレクトロニクス配線を 2.4 これからの発展を担う素子技術,そして回路技術 3 半導体スピンエレクトロニクス 3.1 半導体光スピンデバイス,実用化を迎えた半導体光アイソレータ 3.2 磁性体エレクトロニクスとしての半導体スピンエレクトロニクス 3.3 量子スピンエレクトロニクス 4 おわりに 第2節 半導体スピンエレクトロニクスと量子コンピューティング (東北大学 電気通信研究所 附属超高密度・高速知能システム実験施設 大野 裕三 ほか) 1 はじめに 2 半導体スピン量子コンピューティング 3 光学的手法によるスピンコヒーレンスの観測と制御 4 まとめと今後の課題 第2章 スピンエレクトロニクスの基礎理論 第1節 スピンダイナミックス (東北大学 工学研究科 応用物理学専攻 教授 宮崎 照宣 ほか) 1 まえがき 2 LLG方程式とGilbert dampingおよびスピンポンピング 3 スピンの才差運動 4 Spin switching 5 スピン注入によるスピン反転への展望 第2節 スピン依存単電子トンネル現象 (東北大学 金属材料研究所 助手 薬師寺 啓) 1 はじめに 2 単電子トンネル伝導(SET) 3 これまでの研究 4 金属−非金属グラニュラー薄膜 5 ナノブリッジ構造試料 6 微小CPP構造試料 7 おわりに 第3節 スピン注入 (東北大学 金属材料研究所 教授 前川 禎通) 1 はじめに 2 スピン蓄積 3 スピン注入デバイス 4 異常ホール効果 5 おわりに 第3章 スピン伝導と材料の設計 第1節 第一原理計算によるマテリアルデザイン (大阪大学 産業科学研究所 量子物性研究分野 吉田 博) 1 はじめに −産業構造の変化とマテリアルデザインの必要性− 2 新機能磁性半導体の可能性とマテリアルデザイン 3 第一原理計算によるマテリアルデザイン 4 U-Y族希薄磁性半導体のマテリアルデザイン 4.1 不純物原子種依存性 4.2 U-Y族希薄磁性半導体の電子状態 4.3 キャリア濃度依存性 5 V-X族希薄磁性半導体のマテリアルデザイン 5.1 不純物原子種依存性 5.2 V-X族希薄磁性半導体の電子状態 6 希薄磁性半導体の磁性の系統性 7 まとめ 第2節 強磁性金属 −半導体グラニュラー− (産業技術融合領域研究所 アトムテクノロジー研究体 秋永 広幸) 1 はじめに 2 強磁性金属クラスターを半導体中に埋め込む 2.1 作製方法 2.2 MnAsクラスター間の電気伝導をはかる 2.3 磁気光学効果の増強 3 強磁性金属クラスターを半導体上に分散する 3.1 作製方法 3.2 磁場で電流をスイッチする:磁気抵抗スイッチ効果 3.3 可視光で磁気抵抗効果をスイッチする 4 まとめ 第3節 磁性元素を含むV-X族半導体へテロ接合:磁気輸送特性と強磁性制御 (東京大学大学院 工学系研究科 電子工学専攻,JSTさきがけ研究21 田中 雅明) 1 はじめに 2 MnデルタドープGaAsを含むp型選択ドープへテロ構造 3 磁器輸送特性と強磁性秩序 4 電界および光による磁性の制御 5 まとめ 第4節 フルホイスラー合金を用いたスピントンネル接合 (東北大学大学院 工学研究科 教授 猪俣 浩一郎) 1 はじめに 2 ホイスラー合金 3 CO2(Cr, Fe)Alホイスラー合金およびそれを用いたトンネル接合のTMR 4 まとめ 第5節 室温で強磁性を示す半導体新材料 (Zn, Cr)Te ((独)産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門 安藤 功兒) 1 はじめに 2 強磁性半導体の見分け方 3 試料の作製と磁気特性 4 磁気光学効果による磁気特性と光学特性と相互作用の検出 5 今後の課題 第4章 スピンエレクトロニクスと半導体デバイス 第1節 新磁性V-X族半導体の創製と新機能デバイス応用の研究 (大阪大学 産業科学研究所 光・電子材料研究分野 朝日 一) 1 はじめに 2 新磁性V-X族半導体GaMnN及びGaCrNの創製 2.1 GaMnN 2.2 GaCrN 2.3 GaMnNの結晶性及び磁気特性 3 GaCrNの結晶及び磁気,光学特性 4 期待される新機能デバイス 5 おわりに 第2節 V-X族半導体とそのへテロ構造 (東北大学 電気通信研究所 教授 大野 英男) 1 はじめに 2 強磁性半導体 (Ga, Mn)As 3 スピン注入とスピン制御発光素子 4 磁性/非磁性半導体3層構造のスピン依存散乱とトンネル磁気抵抗 5 室温強磁性へ向けて 6 まとめ 第3節 スピントンネル結合 (東北大学大学院 工学研究科 応用物理学専攻 教授 宮崎 照宣) 1 はじめに 2 原理ならびにこれまでの研究 2.1 原理 2.2 強磁性体/絶縁体/強磁性体三層接合 2.3 交換バイアス層を有するスピンバルブタイプ接合 3 接合の作製と評価方法 4 デバイスとしてのTMR特性 第4節 ペロブスカイト型Mn酸化物スピントンネル接合 (日本電気 システムデバイス基礎研究本部 小畑 毅) 1 はじめに 2 高品質LSMO膜と接合の作製 3 接合のTMR特性 4 最後に 第5章 スピンFET 第1節 スピンFETの可能性 (NTT 物性科学基礎研究所 新田 淳作) 1 はじめに 2 スピンFETの動作原理 3 ゲート電圧によるスピン軌道相互作用の制御 4 まとめ 第2節 半導体・磁性体ハイブリッド構造とスピン注入 ―スピンFETへ向けての進展― (NTT 物性科学基礎研究所 新田 淳作) 1 はじめに 2 スピンFETの動作原理 3 半導体ホール素子を用いた微小磁性体電極の評価 4 磁性体電極から半導体へのスピン注入 5 まとめ 第6章 光スピン機能の応用 第1節 希薄磁性半導体の光スピン機能の応用 ((独)産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門 安藤 功兒) 1 はじめに 2 光集積回路用磁気光学導波路 2.1 希薄磁性半導体Cd1-xMnxTe薄膜の磁気光学効果 2.2 GaAs基板上のCd1-xMnxTe光導波路 2.3 磁気光学効果による導波路モード変換 3 高速光パルスを用いた半導体中の磁性スピンの直接制御技術 3.1 試料および実験方法 3.2 スピンの歳差運動の観測結果 3.3 2パルスによるスピンの歳差運動の制御 4 まとめ 第2節 希薄磁性半導体の巨大磁気光学効果を用いた光デバイス ((株)トーキン 光デバイス事業推進部 商品開発部 小野寺 晃一) 1 はじめに 2 U-Y族希薄磁性半導体の磁気光学効果 3 U-Y族希薄磁性半導体の光アイソレータ 4 まとめ 第7章 巨大磁気抵抗効果 第1節 巨大磁気抵抗効果 (NEC システムデバイス・基礎研究本部 島川 祐一) 1 はじめに 2 ペロブスカイトMn酸化物でのCMR効果 3 パイロクロア型酸化物Tl2Mn2O7でのCMR効果 4 新しい素子としての可能性 5 おわりに 第2節 バリスティック電子が示すGMR効果 (東芝リサーチコンサルティング(株)水島 公一 ほか) 1 はじめに 2 ホットエレクトロンのGMR効果 3 バリスティック電子のGMR効果 4 おわりに 第8章 磁気ヘッドへの応用 第1節 トンネルGMR効果の再生ヘッドへの展開 (TDK(株)記録技術開発センター 開発部 荒木 悟) 1 はじめに 2 スピンバルブGMRヘッド 3 TMRとは? 4 低抵抗&高MR変化率のTMR接合 5 TMRヘッドの構造と特性 6 TMR接合の劣化モード 7 さらに高密度化に向けての課題 第2節 HDD用磁気ヘッド技術の進展 (TDK(株) 情報技術研究所 副所長 佐藤 勇武) 1 まえがき 2 磁気ヘッドの基本構造と動作原理 3 MRヘッド技術の進展 3.1 AMRヘッド 3.2 GMRヘッド 3.3 TMRヘッド 4 まとめ 第9章 メモリーへの応用 第1節 次世代メモリMRAMの開発動向と将来 (東北大学大学院工学研究科 マテリアル・開発系 教授 猪俣 浩一郎) 1 はじめに 2 MRAMを支える材料シーズ 3 MRAMの動作原理 4 MRAMの特徴 5 TMR材料スペック 6 MRAM試作結果 7 MRAMの実用化に向けた課題 7.1 信号電圧の増大 7.2 書き込みパワーの低減 7.3 LSI化プロセス技術 7.4 大容量化に向けたアーキテクチャ 8 おわりに 第2節 MRAM ((株)東芝研究開発センター 研究主幹 與田 博明) 1 はじめに 2 MRAMの動作原理 3 MRAMの特徴 4 MRAMの技術課題 4.1 大容量化の課題 4.2 大容量化と高速性の両立 5 MRAM開発の現状 6 まとめ |