『電子・医用デバイスに展開する先端カーボン』
2004年12月 発行
B5版 450頁
定価 26,000円(税別・送料別)




■刊行主旨■

  カーボンは単一元素でありながら構造の違う多くの特徴をもった物質を提供しています。新しく合成されたカーボン材料には、グラファイト、ダイヤモンド、アモルファスカーボンに加えヘリカル構造体、フラーレンやカーボンナノチューブが登場してきました。構造体補強材料から電子材料、医療材料へと応用範囲が広がっており、特に医療に対する期待が高まっています。
 本書は、これらの先端カーボンと称され注目と期待が集まる材料の合成から、電池材料、センサー材料、医用材料などへの応用までを月刊「マテリアルインテグレーション」に掲載された記事を、再編したものです。

Contents

第1章 総論
第1節 カーボンの構造・物性とつくり方
(東海大学 開発工学部 教授 大谷 杉郎)
1 多世代同居
2 炭素の特異性と同素体の種類
3 構造・組織と物性
4 複合材料
5 炭素材料の作り方
6 おわりに

第2節 カーボンの電気的特性
(日本大学 理工学部 教授 都竹 卓郎)
1 緒言:電子構造
2 電気抵抗
3 Hall効果と磁器抵抗
4 反磁性
5 結言

第3節 先端カーボン
(名城大学 理工学部 教授 飯島 澄男)
1 先端カーボン材料とは?
2 フラーレンやナノチューブの開く新しいカーボン応用
3 フラレーンやナノチューブを原材料とする新たなカーボン材の形成

第4節 カーボンナノチューブの応用
(三重大学 工学部 教授 齋藤 弥八)
1 はじめに
2 カーボンナノチューブの物性
 2.1 機械的特性
 2.2 電子的特性
3 ナノエレクトロニクスへの応用
4 ナノメカニクスへの応用
5 ナノエレクトロメカニクス
6 電界放出電子源とディスプレイデバイス
7 水素貯蔵への利用

第5節 フラレーン実用化の最前線
(フロンティアカーボン(株) 開発センター 村山 英樹)
1 はじめに
2 フラレーンとは何か
3 フラレーンの応用
 3.1 フラレーンの特徴と応用分野
 3.2 フラレーンの具体的な応用例
4 フラレーンの低価格・安定供給
 4.1 フラレーンの製造法
 4.2 フラレーンの工業生産
5 まとめ

第6節 3D−ヘリカル/らせん構造物質・材料について
(岐阜大学 工学部 応用化学科 教授 元島 栖二)
1 はじめに
2 材料創製の新概念:コスモ・ミメティック
3 3D−ヘリカル/らせん構造物質・材料
4 キラリティ(巻き方向)制御法
5 3D−ヘリカル/らせん構造材料の特性と機能

第7節 らせん構造物質の電磁気学的キラリティ
(近畿大学 生物理工学部 助教授 浅居 正充)
1 はじめに
2 キラル媒質研究の黎明
3 キラル媒質の構成
4 キラル媒質の電磁気学的取り扱い
 4.1 キラル媒質に対する構成関係式
 4.2 等価媒質定数の決定法
 4.3 キラル媒質における電磁波の伝搬
5 キラル媒質から成る構造の解析
6 低反射・吸収技術に関する議論
7 むすび

第8節 カーボンマイクロコイル(CMC)
(岐阜大学 工学部応用化学科 元島 栖二)
1 はじめに
2 カーボンマイクロコイル
3 まとめ

第9節 ダイヤモンド
(無機材質研究所 総括無機材質研究官 加茂 陸和)
1 はじめに
2 高温高圧法による合成
3 気相法による合成
 3.1 合成法
 3.2 ヘテロエピタキシャル成長
 3.3 気相合成ダイヤモンドの評価
 3.4 ダイヤモンド半導体
4 ダイヤモンドの応用
5 今後の展開


第2章 合成法と評価
第1節 高機能活性炭
(信州大学 工学部 電気電子工学科 遠藤 守信 ほか)
1 まえがき
2 活性炭における細孔と細孔壁の構造
3 活性炭素繊維
4 カーボンアエロジェル
5 高分解能電子顕微鏡によるナノ孔構造
6 まとめ

第2節 カーボンナノチューブの成長プロセス
(大阪府立大学大学院 工学研究科 助教授 秋田 成司 ほか)
1 はじめに
2 アーク放電法
3 カーボンナノチューブの化学気相成長
4 in-situのX線回折
5 まとめ

第3節 ヘリカル状セラミックスファイバーの合成
(信州大学大学院 工学系研究科 教授 英 謙二)
1 はじめに
2 有機ナノファイバーを形成するゲル化剤
3 セラミックスナノファイバーの合成
4 おわりに

第4節 カーボンマイクロコイル(CMC)の合成,モルフォロジー及び基本物性
(岐阜大学 工学部 応用化学科 教授 元島 栖二)
1 はじめに
2 合成法
3 モルフォロジー
4 成長メカニズム
5 特性・応用

第5節 Advance in Research of Carbon Micro/Nano-Coils Abroad
(岐阜大学 工学部 応用化学科 教授元島 栖二)
1 Introduction
2 Preparations, morphologies and microstructures
 2.1 Research on carbon coils in early years
 2.2 Research on carbon coils in 1990's
 2.3 Research on carbon coils in this century
 2.4 Advance in research of ceramics nanocoils in recent years

第6節 CMCの微構造
(長崎大学工学部 材料工学科 教授 岩永 浩 ほか)
1 はじめに
2 実験
3 結果と考察
 3.1 as-grown CMCの形態
 3.2 熱処理温度とグラファイト化の関係
 3.3 熱処理3000℃の高分解能写真
 3.4 熱処理後の空気酸化されたコイルの格子像
4 まとめ

第7節 カーボンナノチューブ
(本荘ケミカル(株) 技術開発部 稲倉 秀樹)
1 はじめに
2 カーボンナノチューブの合成法
3 アーク放電法によるカーボンナノチューブ
4 カーボンナノチューブの応用

第8節 高輝度放射光による炭素系薄膜の構造解析
(東北大学院 理学研究科 物理学専攻CREST-JST 谷垣 勝巳)
1 はじめに
2 炭素系薄膜FET
3 放射光施設における低角X線構造解析
4 C60薄膜FETの電界効果デバイス特性
5 様々な基板上に蒸着したC60薄膜のX線構造解析
 5.1 薄膜X線構造解析の有用性の検討
 5.2 種々の半導体基板上に蒸着したC60薄膜のX線構造解析
6 結論および今後の課題

第9節 ダイヤモンドの合成と応用
(住友電気工業(株)伊丹研究所 主任研究員 今井 貴浩)
1 はじめに
2 電子材料としてのダイヤモンドの現状
 2.1 ダイヤモンド半導体素子
  2.1.1 表面弾性波デバイス
 2.2 電子デバイス用ヒートシンク
3 ダイヤモンド単結晶の合成
 3.1 ダイヤモンド単結晶の合成
 3.2 気相成長方法
 3.3 気相成長ダイヤモンド単結晶の特性
4 まとめ

第10節 ダイヤモンド薄膜の気相合成
(東海大学工学部 電子工学科 教授 広瀬 洋一)
1 緒言
2 ダイヤモンド合成の歴史的経緯
3 ダイヤモンドの気相成長法
 3.1 熱フィラメントCVD法
 3.2 マイクロ波プラズマCVD法
 3.3 直流アークプラズマジェット法
 3.4 燃焼炎法
4 おわりに

第11節 n型半導体ダイヤモンドの合成と評価
(無機材質研究所 先端機能性材料研究センター 研究員 小泉 聡)
1 はじめに
2 リンド−プエピタキシャルダイヤモンド薄膜の成長
3 結晶性の評価
4 電気特性の評価
5 結論

第12節 ダイヤモンドの電子材料への応用に向けて
(科学技術庁 無機材質研究所 先端機能性材料研究センター 総合研究官 神田 久生)
1 はじめに
2 ダイヤモンドの不純物
3 n型半導体ダイヤモンド
4 今度の課題と関連する研究
5 おわりに


第3章 クリーンエネルギーへの応用

第1節 カーボンナノホーンを用いた携帯燃料電池の開発
(NEC基礎研究所 久保 佳実)
1 はじめに
2 携帯電源としての燃料電池
3 カーボンナノホーンの触媒担持電極への応用
4 携帯燃料電池の課題と展望

第2節 高電導材料,電池材料としてのグラファイト層間化合物
(京都大学 工学部工業化学教室・分子工学専攻 助教授 中島 剛)
1 グラファイト層間化合物
2 軽量の高電導材料としてのグラファイト層間化合物
3 グラファイト層間化合物を用いるリチウム電池
 3.1 一次電池
 3.2 二次電池

第3節 リチウムイオン電池と炭素負極におけるインターカレーション現象
(信州大学工学部 電気電子工学科 遠藤 守信 ほか)
1 まえがき
2 負極用炭素材料
3 グラファイト層間化合物と負極の挙動
4 Li貯蔵モデル
5 まとめ

第4節 MCMB系負極材料
(大阪ガス(株)研究開発部 応用研究所 エネルギー変換貯蔵チームマネージャー 嘉数 隆敬)
1 緒言
2 MCMBとは
3 MCMBの製造方法
4 MCMBの特徴
5 MCMBの熱処理と構造変化
6 MCMBの負極特性
7 黒鉛化MCMBの高容量化
8 結言

第5節 リチウムイオン二次電池負極材としての天然黒鉛/炭素複合材料
(三井鉱山(株)総合研究所 ほか 福田 憲二)
1 緒言
2 リチウムイオン二次電池
3 負極材料
 3.1 人造黒鉛系負極材
 3.2 天然黒鉛系負極材
4 紡錘状黒鉛/炭素複合負極材:GDA
5 球形化黒鉛系負極材:GDR
6 大型電池への応用
7 まとめ

第6節 カーボンナノホーンの燃料電池への応用
(NEC 基礎・環境研究所 久保 佳実)
1 はじめに
2 モバイル燃料電池の原理と構成
3 カーボンナノホーンの電極応用
4 モバイル燃料電池の試作品
5 技術課題と今後の展望

第7節 電気二重層コンデンサへの応用
(NECトーキンセラミクス(株) 堀江 英昭)
1 はじめに
2 電気二重層コンデンサの用途
 2.1 メモリーバックアップ用途
 2.2 メイン電源用途
 2.3 ハイパワー電流,電力貯蔵用途
3 電気二重層コンデンサの構造と種類
 3.1 有機溶媒系巻回型
 3.2 水溶液系積層型
4 市場動向と要素技術
5 水溶液系積層型の適用例
 5.1 車両用電気二重層コンデンサ
 5.2 セルモータ駆動電気二重層コンデンサ
6 電気二重層コンデンサの今後の課題

第8節 CMCの水素吸蔵特性
(長崎大学 教育学部 教授 古谷 吉男)
1 はじめに
2 供試CMC試料
3 水素吸蔵能の測定
 3.1 室温以下での測定と結果(上昇圧測定(容積法))
 3.2 室温以上での測定方法と結果(TDS測定(質量分析法))
4 水素急増特性に及ぼす各種前処理の効果
 4.1 予備加熱処理の効果
 4.2 メカニカルミリング処理の効果
 4.3 Ti添加の効果
5 おわりに


第4章 電子エミッタへの応用

第1節 ヘリカルカーボンナノファイバの電子エミッタへの応用
(豊橋技術科学大学 電気・電子工学系 滝川 浩史)
1 はじめに
2 ヘリカルカーボンナノファイバ
 2.1 合成方法
 2.2 合成物
3 電子放出特性
4 おわりに

第2節 高配向カーボンナノチューブ膜の電子源の応用
((財)ファインセラミックスセンター 試験研究所 副主任研究員 伊藤 雅節 ほか)
1 はじめに
2 カーボンナノチューブ
3 SiC表面分解法
4 電子放出のためのCNT制御
5 電子放出特性
6 おわりに


第5章 電子波・ノイズ吸収

第1節 CMCの電磁波吸収材への応用
(シーエムシー技術開発(株) 技術開発部 主任 菱川 幸雄 ほか)
1 はじめに
2 CMCの電磁波吸収特性
3 CMCを活用した電磁波吸収材
 3.1 CMCビーズ
4 CMCの電磁波吸収メカニズム
 4.1 電磁波吸収材
 4.2 CMCの電磁波吸収作用・効果
5 まとめ

第2節 先端カーボンのノイズ抑制シートへの適用
(NECトーキン(株) ファンクショナルデバイス事業本部 磁性デバイス事業部 粟倉 由夫)
1 はじめに
2 ノイズ抑制シートとは
3 ノイズ抑制効果
4 アプリケーション
5 最後に


第6章 センサーへの応用

第1節 温度センサーとしてのカーボンナノチューブの応用
((独)物質・材料研究機構 若手国際研究拠点 センター長 板東 義雄)
1 はじめに
2 カーボンナノ温度計の特徴
3 カーボンナノ温度計の合成と成長機構
4 カーボンナノ温度計の温度作用
5 温度の履歴
6 耐熱性・耐酸化性に優れた新しいナノ温度計の開発
7 おわりに

第2節 CMCの触覚センサーへの応用
(シーエムシー技術開発(株) 代表取締役 河邊 憲次 ほか)
1 はじめに
2 CMCのセンサー特性
 2.1 機械的特性
 2.2 電気的特性
 2.3 電磁気的特性
3 CMCを応用した触覚インテリジェント
 3.1 CMC触覚センサー素子と基本原理
 3.2 CMC触覚センサー回路
4 CMC触覚インテリジェントセンサー活用の方向性
 4.1 ヒューマノイドロボットへの活用
 4.2 医療機器への活用
 4.3 建築内装材への活用
5 まとめ


第7章 医用・応用

第1節 CMCの癌治療への応用
((財)応用生化学研究所 研究部長 幸村 定昭)
1 はじめに
2 CMC存在下,水の超音波照射による・OHの発生
 2.1 電子スピン共鳴法による検出
 2.2 CMC存在下,水の超音波照射による・OHの発生:サリチル酸水酸化物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による検出
3 CMC存在下,超音波照射による癌細胞の増殖抑制
 3.1 培養ヒト肝臓癌細胞に対する増殖抑制作用
 3.2 マウスザルコーマに対する増殖抑制作用
4 まとめ

第2節 キャピラリーカーボンマイクロ電極
(東京農工大学 工学部 生命工学科 講師 斉藤 美佳子 ほか)
1 はじめに
2 キャピラリーカーボンマイクロ電極の作製法
3 キャピラリーカーボンマイクロ電極の構造
4 ドーパミンの測定への適用
5 単一細胞実験への応用
6 おわりに

第3節 カーボンマイクロコイルの化粧品への応用
(日本メナード化粧品(株) 小川 雅久)
1 炭素材料と化粧品
2 カーボンマイクロコイルの可能性
3 結晶品原料に必要な安全性試験
4 カーボンマイクロコイルの生物活性
5 化粧品と電磁波問題
6 カーボンマイクロコイルの配合化粧品と今後


第8章 ダイヤモンドの応用

第1節 ダイヤモンドを利用したSAWフィルタ
(住友電気工業(株) 伊丹研究所 主任研究員 鹿田 真一)
1 はじめに
2 ダイヤモンドウェハ
3 材料特性とダイヤモンドSAWフィルタの特徴
4 ダイヤモンドSAWフィルタの各種通信分野での応用
5 おわりに

第2節 CVDダイヤモンドの励起子発光
(早稲田大学 理工学部電子通信学科 助教授 川原田 洋)
1 はじめに
2 実験方法
3 ダイヤモンドにおける間接励起子の再結合発光
4 天然ダイヤモンドとアンドープCVDダイヤモンド
5 ボロンドープした多結晶CVDダイヤモンド
6 まとめ

第3節 ダイヤモンドライク膜の特性と応用 −DLC膜による蒸着テープの耐久性向上−
(ソニー(株) 仙台テクノロジーセンター 蒸着部 主任技師,課長 大崎 博之)
1 はじめに
2 蒸着テープの作製法と構造
 2.1 蒸着テープの作製法
 2.2 蒸着テープの構造
 2.3 DLC膜の構造
3 蒸着テープの摺動耐久性
 3.1 スティールダメージのメカニズム
 3.2 表面突起による耐久性向上
 3.3 DLC膜いよる耐久性向上
4 まとめ

第4節 p型半導体ダイヤモンドとその応用
(早稲田大学 理工学研究科 津川 和夫 ほか)
1 はじめに
2 水素終端ダイヤモンドp型表面伝導層用いた表面チャネル型FET
3 表面チャネル型FETの作製
 3.1 表面チャネル型FET作製プロセス
 3.2 表面チャネル型FETの1-V特性
4 表面チャネル型FETのデバイスシミュレーション
 4.1 表面チャネル型FETのデバイスモデリング
 4.2 直流特性シミュレーション
5 まとめ