『高活性光触媒によるエネルギーの創製と環境浄化』 2004年9月 発行 B5版 380頁 定価 26,000円(税別・送料別) ■刊行主旨■ エネルギー・環境問題は,21世紀に取り組むべき最大の課題です.光触媒反応はクリーンで無尽蔵な太陽エネルギーを利用するため,環境調和型触媒としての利用が期待されています.そういった背景から,光触媒の用途が拡大しており,既に滅菌,抗菌,防汚,消臭などの分野で利用され,さらに大気中の窒素酸化物の分解,住宅内の揮発性有機物の分解,廃水浄化等への利用も実現しています.一方,エネルギー分野にも光触媒反応の利用が検討されており,水素エネルギーへの変換や高性能な太陽電池の開発など,次世代エネルギーの創製にも大きな期待が寄せられているところです. 本書は,高活性な光触媒材料の創製方法,可視光が大部分を占める太陽光をより有効に利用できる可視光反応型光触媒の開発法をはじめ,多機能な光触媒応用にあたって材料の調整から担持法,システムの構築までを収録し時代の要請に応えたものです. なお,本書は,月刊「マテリアル・インテグレーション」に紹介された光触媒に関する解説を中心に収録・再編集し系統的にまとめたものです. Contents 第1部 光触媒用二酸化チタンの合成 第1章 二酸化チタンの化学 第1節 セラミック材料としてのTiO2の化学 1 はじめに 2 二酸化チタンの結晶構造 3 ルチルと不定比化合物 4 ルチルの電気伝導特性と結晶欠陥 5 おわりに 第2節 TiO2ゲルの結晶化と相転移 1 はじめに 2 ゾルーゲル法によるチタニアの合成 3 シード添加の影響とアナターゼ/ルチルの相転移の速度 4 おわりに 第2章 高活性酸化チタンの合成法 第1節 光触媒用二酸化チタンのゾルーゲルプロセシング 1 はじめに 2 ゾルゲル法によるチタニアの合成 3 チタニア微粒子の光触媒反応 4 シリカゲル担持チタニア微粒子による光触媒反応 5 おわりに 第2節 PC法を用いた高活性酸化チタン光触媒の開発 1 はじめに 2 PC法による調製 3 PC法チタニアの物理的性状 4 PC法チタニアの光触媒活性 5 おわりに 第3節 ソルボサーマル法による高活性光触媒の調製 1 はじめに 2 ソルボサーマル法とは? 3 高活性光触媒の設計 4 ソルボサーマル法による酸化チタンナノ結晶の合成 4.1 HyCOM法 4.2 TD法 4.3 ThyCA法 5 ソルボサーマル法TiO2の光触媒性能の評価 6 ソルボサーマル法による可視光応答性酸化チタンの合成 7 ソルボサーマル法による酸化チタンー活性炭複合材料の合成 8 ソルボサーマル法による酸化タングステン光触媒の合成 9 ソルボサーマル法によるブルカイト型酸化チタンの合成 10 おわりに 第4節 Nanostructured TiO2 1 Introduction 2 Preparation and Characterization 2.1 Preparation of anatase rutile TiO2 nanocrystals 2.2 Preparation of Mesoporous TiO2 with Crystalline Framework 2.3 Preparation of anatase TiO2 by Thermal decomposition 3 Photocatalysis on ultrafine TiO2 in the mixed-phase or rutile phase 4 Conclusions 第5節 レーザーアブレーション法による半導体微粒子の創製 1 はじめに 2 光半導体の機能向上シナリオ 2.1 基本的な考え方 2.2 微細化によるエネルギー構造の変化 3 レーザーアブレーション法の原理 3.1 はじめに 3.2 レーザーアブレーション法の物理 4 実験方法 4.1 実験装置 4.2 実験方法 5 TiO2ナノ粒子の生成と捕集 6 TiO2ナノ粒子の光物性 7 まとめ 第6節 ドライプロセスによる高機能な酸化チタン薄膜光触媒の創製 1 はじめに 2 ドライプロセスとしてのイオン工学的正膜法 3 透明な酸化チタン薄膜光触媒の作製 4 紫外ー可視光で機能する新規な第二世代の酸化チタン光触媒の開発 4.1 イオン注入法による可視光照射で機能する酸化チタン薄膜光触媒の作製 4.2 マグネトロンスパッタ成膜法による可視光応答型酸化チタン薄膜光触媒の作製 5 おわりに 第7節 酸化チタン光触媒のナノ構造制御と可視光化 1 はじめに 2 Ti-O-N系光触媒の概要 3 Ti-O-N光触媒の特性 3.1 アセトアルデヒド分解特性 3.2 メチレンブルーの分解特性 3.3 指紋分解特性 3.4 表面親水特性 4 光触媒の課題 5 おわりに 第8節 層状化合物を利用した可視光反応型光触媒の創製 1 はじめに 2 可視光励起型半導体の層間包装 3 層状化合物への遷移金属の付活 4 おわりに 第3章 高活性光触媒担持体 第1節 光触媒機能を有するガラス膜の開発 1 はじめに 2 多孔質ガラス膜の調製 3 チタニアの担持法 4 膜の光酸化能の光分解のメカニズム 5 適用分野と今後の展開 第2節 新しいプロセスによる多孔質TiO2薄膜の設計と機能 1 はじめに 2 多孔質TiO2コーディング薄膜の設計-新しいプロセスの概念 3 多孔質TiO2コーティング薄膜の合成 3.1 コーティング膜用前駆体溶液の調整 3.2 結晶構造の制御とサブミクロン気孔の形成 3.3 ナノ構造(ナノ気孔・ナノ配向粒子)の形成 4 多孔質TiO2コーティング薄膜の機能と応用展開 4.1 光触媒機能 4.2 色素増感太陽電池への応用 4.3 おわりに 第3節 高活性角柱状酸化チタン光触媒の開発とその応用 1 はじめに 2 角柱状酸化チタン光触媒の特性 2.1 角柱酸化チタン光触媒の作製 2.2 角柱酸化チタン光触媒の微細構造 2.3 気相中におけるアセトアルデヒド酸化分解特性 2.4 高濃度連続酸化分解特性 3 角柱状酸化チタン光触媒の応用 3.1 光触媒空気浄化機の有害有機化合物分解特性 3.2 光触媒空気浄化機の抗菌性能評価 4 おわりに 第4節 酸化チタン/ゼオライト・メソポーラスシリカ系光触媒の調製と光触媒反応特性 1 はじめに 2 酸化チタン光触媒/多孔質体複合化の目的 3 細孔内に分散した超微粒子TiO2と骨格に組み込んだ四配位チタンの特徴 4 光触媒/疎水性多孔質材料による汚染物質の濃縮分解(汚染水の浄化) 5 NOをTiO2とO2に分解無害化(大気・空気の浄化) 6 二酸化炭素と水からのメタン,メタノール合成(人工光合成) 7 可視光応答型ゼオライト光触媒の開発 第5節 ナノサイズ表面機能層の新製法と用途展開 1 はじめに 2 機能性セラミックスの新しい合成プロセス 3 新規合成プロセスの適用例 3.1 高硬度表面傾斜層の形成(TiN/Si3N4) 3.2 光触媒機能表面傾斜層の形成(TiO2/SiO2) 3.3 高強度チタニア繊維の用途展開例 3.4 表面耐食性傾斜層の形成(ZrO2/SiC) 4 おわりに 第2部 新エネルギーを創出する光触媒 第1章 光触媒材料の開発 第1節 水の分解を目指した光触媒材料の開発 1 はじめに 2 水の完全分解のための新規光触媒材料 3 可視光応答性光触媒の開発ー太陽光利用を目指して 4 おわりに 第2節 チタン・ニオブ層状複合酸化物系光触媒の創製 1 はじめに 2 K[Ca2Nan-3NbnO3n+1]層状複合酸化物 3 助触媒の利用 4 チタン・ニオブ層状複合酸化物 5 層間修飾した層状複合酸化物による水の分解 6 光触媒による水素生成の経時変化 第3節 新しい太陽光エネルギー変換材料の開発 1 はじめに 2 新しい安価な高性能太陽電池-有機色素増感太陽電池 3 可視光応答性の水の完全分解用光触媒システムの開発 第4節 インターカレーション材料の合成と光化学特性 1 はじめに 2 半導体の層間包接 3 層間包接半導体クラスタのナノ構造とバンドギャップエネルギー 4 層状化合物/半導体ナノ複合体の光触媒活性 5 ゲスト→ホスト電子移動 6 おわりに 第2章 水の光分解 第1節 光による水の分解素子 1 水分解の科学ー序に代えてー 2 太陽電池ー水電解結合系ー 3 光半導体電極法(湿式太陽電池) 4 熱電発電ー光半導体電極結合系 5 光化学的水分解 6 金属錯体による光分解 7 終りに 第2節 原子価制御した複合酸化物による水の光完全分解反応 1 はじめに 2 KTaO3における電子濃度制御効果 2.1 層状光触媒 2.2 NaTaO3 3 他の複合酸化物への添加効果 4 おわりに 第3節 水の光触媒分解による水素生産 1 緒言 2 実験 3 結果と考察 第4節 光触媒によるエネルギー変換 1 はじめに 2 固体光触媒による水の分解 3 水の可視光全分解への試み 4 チタン系オキシナイトライドLaTiNO2の光触媒活性と安定性 5 おわりに 第3章 光触媒を利用した太陽電池 第1節 次世代酸化チタン太陽電池の課題 1 はじめに 2 長期安定性と信頼性の確立 3 電解質の固体化 4 擬固体化方法 5 ホール輸送特性を有する電子伝導性固体 6 低価格化の課題 7 色素増感型太陽電池の新市場と材料 第2節 酸化亜鉛を用いた高性能な色素増感太陽電池 1 はじめに 2 グレッツェル・セルの構造と発電メカニズム 3 酸化亜鉛太陽電池の特徴 4 有機色素を用いた酸化亜鉛太陽電池の高性能化 5 おわりに 第三部 光触媒環境材料とその応用 第1章 光触媒の浄化作用と抗菌作用の利用 第1節 光触媒環境材料と環境浄化技術の研究開発 1 はじめに 2 二酸化チタン光触媒 3 環境材料化学研究グループの研究 3.1 二酸化チタン透明薄膜光触媒 3.2 二酸化チタン光触媒の多孔質化 3.3 二酸化チタン光触媒の高機能化 3.4 産業廃棄物の光触媒担体への利用 3.5 光触媒の評価技術,環境計測技術 4 光触媒の応用展開 4.1 空気浄化(脱臭・排ガス浄化) 4.2 汚れ防止・曇り止め 4.3 大気浄化 4.4 抗菌防かび 4.5 水処理 5 今後の展開 6 おわりに 第2節 微生物制御における無機系抗菌剤 1 はじめに 2 銀系抗菌剤 3 光触媒系抗菌剤 4 金属酸化物/天然物 5 おわりに 第3節 光触媒で歯をきれいに 1 はじめに 2 二酸化チタンによる歯の漂白 2.1 漂白溶液の設計 2.2 照射器の設計 2.3 設計した漂白溶液と照射器による漂白実験 第2章 空気清浄システム 第1節 光電子触媒を利用した空気清浄システム 1 緒言 2 光電子触媒システムの概念 3 高効率光触媒の製造 4 光電子触媒システムによる有害物の分解 5 光触媒のコーティング 第2節 薄膜光触媒の環境浄化装置への応用 1 はじめに 2 浮遊菌除去装置に用いた光触媒フィルタ 3 光触媒フィルタの殺菌評価実験 4 大型浮遊菌除去装置による病院での殺菌実験 5 おわりに 第3章 水処理装置 第1節 酸化チタン光触媒による汚染水の浄化と反応機構 1 はじめに 2 TiO2光触媒を用いた光分解反応のタイムスケール 3 水質環境汚染物質の光分解 4 難分解性の水質汚染物質の分解 5 太陽光を利用した水質汚染物質の分解処理技術 6 最後に 第2節 Modified TiO2 by CVD Circulating Fluidizing Bed 1 Introduction 2 Experimental 2.1 Apparatus 2.2 Sample preparation 3 Results and Discussions 4 Conclusion 第4章 水系の浄化 第1節 光触媒による藻類の除去 1 緒言 2 実験方法 2.1 光触媒コーティング資材の作成 2.2 光触媒コーティング資材による増殖抑制試験 3 結果と考察 第2節 湖沼や池の光酸化分解法による浄化システム 1 はじめに 2 光酸化分解法による浄化の原理 2.1 紫外線とオゾンの発生 2.2 セラミックスと紫外線光源 2.3 紫外線とオゾンの効果 3 光酸化分解浄化システム 4 浄化システムの実施例 4.1 実施例1 4.2 実施例2 5 浄化システムの特長 6 おわりに 第5章 環境ホルモンの分解 第1節 環境ホルモンに挑む・・・光触媒材料の開発 1 はじめに 2 環境ホルモン 3 微量有害化学物質の浄化と光触媒 4 プロジェクトの概要 4.1 微量ダイオキシン浄化への新たな取り組み 4.2 酸化チタン光触媒に関する新たな取り組み 4.3 触媒開発手法に関する新たな取り組み 5 おわりに 第2節 内分泌撹乱物質分解への光触媒の応用 1 エストロゲンの光触媒による分解 2 ビスフェノールAの光触媒による分解 3 環境ホルモンとしての女性ホルモンとその対策,光触媒の応用の実用化について 第6章 光触媒の超親水性の利用 第1節 光触媒による超親水性表面の形成と応用 1 光触媒表面上で起こる反応 2 超親水性になるしくみ 3 超親水性表面の応用例 4 今後の課題 第2節 酸化チタン表面の光励起超親水化現象 1 はじめに 2 光触媒酸化チタン 3 酸化チタン表面の超親水化現象 4 酸化チタン表面の超親水化現象の応用 5 おわりに |