『セラミックスによるソフトエネルギー開発』-高燃料電池、熱電発電、太陽電池-増補改訂版 2003年6月:発行 B5版 400頁 定価 26,000円(税別・送料別) ■刊行主旨■ 地球環境問題の関連でクリーンな新エネルギーの開発が強力に進められていますが、効率や投入するコストの問題を含め提案されている新エネルギー開発技術が根本的な問題解決になるかが大きな争点となっているところです。高効率熱電変換材料、燃料電池に用いられる固体電解質材料、光触媒、光合成などの光エネルギー変換材料は、積極的に環境改善に寄与する材料として注目されいます。一方これらの材料は新しいコンセプトに基づく材料開発技術によって、飛躍的に効率や耐環境性が増し実用化レベルになりつつあります。 本書はそれらの材料の開発から応用までを、旧版以降これまでに月刊「マテリアルインテグレーション」で紹介された粉体に関する記事を中心に新しく加え、再編集し、様々な角度からの理解の助けとなるようにしました。 Contents ■第T部■ 燃料電池 第1章 燃料電池の開発 第1節 溶融炭酸塩型燃料電池の開発 1 はじめに 2 溶融炭酸塩型燃料電池の概要と特長 3 研究開発の現状 4 溶融炭酸塩型燃料電池の開発課題 5 おわりに 第2節 高温型固体電解質燃料電池の開発 1 はじめに 2 SOFCの作動原理および歴史的背景(第一世代SOFC) 3 第二世代のSOFC(1980年代) 4 おわりに 第3節 固体電解質型燃料電池の開発状況 1 はじめに 2 原理と特徴 3 SOFCの構造 4 開発状況 5 開発過程 6 25kW級SOFCコージェネレーションシステムの運転状況 7 おわりに 第4節 固体電解質型燃料電池 1 はじめに 2 原理と構造 3 開発状況 4 材料の開発課題 5 用途開発 6 あとがき 第5節 燃料電池の開発動向 1 燃料電池の開発 1.1 燃料電池の構成 1.2 燃料電池発電の熱効率 1.3 燃料電池の起電力を低下させる要因 1.4 燃料改質 2 PEFCの開発 2.1 PEFCの性能向上 2.2 PEFCの応用展開 2.2.1 自動車用途 2.2.2 移動用、定置用への応用 3 DMFCの開発 3.1 発電特性 3.2 課題 4 マイクロ燃料電池 5 今後の見通し 第6節 カーボンナノホーンを用いた携帯燃料電池の開発 1 はじめに 2 携帯電源としての燃料電池 3 カーボンナノホーンの触媒担持電極への応用 4 携帯燃料電池の課題と展望 第2章 燃料電池用材料の開発 第1節 固体酸化物形燃料電池用電極材料 1 はじめに 2 SOFC用電極材料 2.1 高温作動形電極 2.2 低温作動形電極 3 ミクロ構造制御による電極の高性能化 3.1 電極性能とミクロ構造 3.2 高温形Ni-YSZ燃料極 3.3 低温形La(Sr)MnO3-YSZ空気極 3.4 低温形Ni-SDC燃料極 4 おわりに 第2節 燃料電池用セラミックスの研究開発 1 はじめに 2 電極ミクロ構造制御技術 3 ジルコニア電解質の導電特性評価 4 新規シール材開発 5 MCFC新規カソードの開発 6 おわりに 第3節 ミクロ構造制御による燃料電池電極の高性能化 1 固体電解質型燃料電池とは 2 電極の役割と課題 3 電極のミクロ構造制御 4 ミクロ構造制御された電極の性能及び安定性 5 まとめ 6 謝辞 第4節 極薄固体電解質製膜技術開発 1 はじめに 2 固体電解質燃料電池の構成材料と高出力化 3 自己支持型セルにおける電解質の薄膜化 4 多孔質基板上へのYSZ膜の推積 5 その他の作製法 6 おわりに 第5節 固体電解質燃料電池用触媒 1 はじめに 2 燃料電池と触媒 3 空気極触媒 4 燃料極触媒 5 燃料電池型反応器用触媒 6 燃料電池型反応器の二酸化炭素フリー燃焼システムへの応用と燃料極触媒の開発 7 水素イオン導電性固体電解質の応用 8 むすび ■第U部■ 熱電発電材料 第1章 熱電発電システム 第1節 熱電発電の需要展望 1 はじめに 2 産業用工業プロセス 3 廃棄物焼却炉 4 発電所 5 分散化電源 6 自動車 7 自然エネルギー 8 まとめ 第2節 超高効率複合熱電変換システムの概念設計 1 熱電子・熱電複合発電システムとその構成 1.1 太陽集熱器 1.2 熱電子コンバータ(TIC) 1.3 ヒートパイプ熱輸送インタフェイス 1.4 熱電コンバータ(TEC) 1.5 放熱器 2 HYDECSモジュールの設計要求と形状 2.1 設計オプション 2.2 HYDECS発電モジュールの基本構造と形状 3 まとめ 第3節 焼却炉排熱による熱電発電 1 都市ゴミの現状と熱電発電の可能性 2 焼却炉排熱による熱電発電技術 2.1 熱電発電の方式 2.2 発電実験の例(1) 2.3 発電実験の例(2) 3 技術的課題 4 今後の展望 第4節 往復動燃焼熱電発電 1 はじめに 2 往復動燃焼による多孔構造体熱電発電 3 多孔体熱電変換素子の開発 4 燃焼・発電実験 5 熱電発電システムの概念設計 6 まとめ 第2章 熱電発電モジュール 第1節 傾斜機能材料による高出力密度熱電変換モジュール 1 はじめに 2 熱電変換システムの開発の歴史 2.1 ラジオアイソトープを熱源とする 宇宙用熱電変換システム 2.2 高速炉を熱源とする宇宙用 熱電変換システム 3 熱電変換システムの高性能化 3.1 SP-100用のコンプライアント・パッド 3.2 FGMコンプライアント・パッド 4 熱電変換システムの今後の展望 4.1 廃熱利用発電システム 4.2 分散電源用発電システム 5 まとめ 第2節 Bi2Te3系熱電素子・モジュール 1 はじめに 2 結晶材料 3 焼結材料 4 電子冷却 5 熱電発電 6 おわりに 第3節 マイクロモジュールと熱電時計 1 熱電素子の小型化と熱電時計 2 マイクロモジュール 2.1 マイクロモジュール作製プロセスの概要 2.2 マイクロモジュールの作製例と特性 3 熱電時計 4 おわりに 第4節 シート積層型熱電素子 1 緒言 1.1 研究の背景 2 実験方法 2.1 製造方法 2.2 評価方法 3 実験結果と考察 3.1 一対品の特性 3.2 多対品の特性 3.3 耐久性試験結果 4 結言 第3章 熱電変換材料 第1節 傾斜構造熱電変換材料 1 はじめに 2 熱電材料の性能評価 3 熱電材料の高性能化 3.1 組成・組織制御による熱伝導率の低減 3.2 キャリア濃度FGM 4 異種FGM熱電材料の接合による高性能化 5 傾斜構造熱電材料の実例 6 おわりに 第2節 ミクロ傾斜構造をもつ熱電子発電器エミッタ 1 はじめに 2 熱電子発電とエミッタ材料 3 ミクロ傾斜構造の形成 3.1 Re/W/Mo傾斜構造 4 FGMエミッタを装着した熱電子発電器 の発電特性 5 ミクロ傾斜構造による熱応力の緩和 5.1 傾斜構造モデル 5.2 熱応力の計算 5.3 熱特性力学特性の組成依存性 5.4 熱応力分布 6 結言 第3節 スクッテルダイト系化合物の電子構造と熱電物性 1 はじめに 2 MX3系化合物の結晶構造と電子構造 3 電気的,熱電気的特性 4 MX3化合物の格子熱伝導率について 5 むすび 第4節 フィルドスクッテルダイト 1 はじめに 2 フィルドスクッテルダイトの合成 3 熱伝導率 4 電気的性質 5 おわりに 第5節 層状構造酸化物(ZnO)mIn2O3 1 はじめに 2 結晶構造 3 合成および熱電物性 4 変換効率の向上のための工夫 4.1 元素置換 4.2 配向制御 第6節 ペロブスカイト型酸化物の熱電特性 1 はじめに 2 ペロブスカイト型酸化物の結晶構造 3 金属的伝導を示すペロブスカイト型 酸化物 Ba1-xSrxPbO3 4 ホッピング伝導を示すペロブスカイト型酸化物 5 酸化物熱電発電素子の試作 6 おわりに 第7節 秩序ペロブスカイト型酸化物Cd3TeO6 1 はじめに 2 実験方法 3 実験結果および考察 3.1 Cd3TeO6の結晶構造 3.2 合成雰囲気とCd3TeO6の電導性 3.3 三価陽イオンの置換による Cd3-xAxTeO6-δの電導性 4 おわりに 第8節 強相関電子系酸化物NaCo2O4 1 はじめに 2 NaCo2O4の物性 3 電子相関 4 NaCo2O4の電子相関 5 まとめ 第9節 AlドープZnO系酸化物の熱電特性 1 はじめに 2 ZnOの結晶構造と諸物性 3 AlドープZnOの合成プロセスと キャラクタリゼーション 4 AlドープZnOの熱電特性 5 AlドープZnOの性能向上指針と今後の展望 6 おわりに 第10節 ラティスコンポジットによる熱電材料開発 1 はじめに 2 ラティスコンポジット 3 Bi2Sr2Co2Ox 4 RuSr2GdCu2O8 5 Ca3Co4O9 6 おわりに 第11節 新機能創成の材料設計−ラティスコンポジット− 1 はじめに 2 ラティスコンポジットの考え方 3 ラティスコンポジットによる次元性制御 4 熱電変換材料開発への応用 5 おわりに 第12節 Si-Ge系量子井戸構造の熱電特性 1 はじめに 2 量子井戸・超格子材料研究の背景 3 Si-Ge系量子井戸構造 4 試料作製 5 電気特性評価 6 実験結果 6.1 導電率とゼーベック係数の量子井戸幅依存性 6.2 導電率とゼーベック係数の積層周期依存性 7 考察 7.1 マクロスコピックなモデル 7.2 Kroig-Pennyの量子井戸モデル 8 まとめ 第13節 炭化ホウ素系複合セラミックス 1 はじめに 2 炭化ホウ素の熱電機構 3 複合化による炭化ホウ素の熱電性能の向上 4 おわりに ■第V部■ 太陽電池 第1章 太陽光発電システム 第1節 太陽光発電の現状と将来展望 1 はじめに 2 新しいクリーンエネルギーとしての太陽エネルギー 3 太陽光発電の市場展開の経緯 4 将来のマーケットシナリオ 5 そしてGENESISへ 6 おわりに 第2節 太陽電池 1 はじめに 2 太陽電池の仕組みと特徴 3 太陽電池の実用化に対する取り組み 4 太陽光発電の将来−GENESIS計画と光ファイバーネットワーク− 5 おわりに 第3節 次世代太陽電池開発の最前線 1 はじめに 2 CIGS太陽電池の構造と特長 3 CIGS太陽電池(小面積セル)性能の現状 4 製膜技術 5 高効率化技術 6 溶液成長過程におけるU族元素の拡散とpn接合形成(ウェットプロセスからドライプロセスへ) 7 宇宙用CIGS太陽電池 8 大面積モジュール開発 9 まとめ 第2章 太陽電池モジュール 第1節 化合物半導体太陽電池開発の現状 1 緒論 2 GaAs系太陽電池 3 InP系太陽電池 4 タンデム構造太陽電池 5 低コストセル 6 結言 第2節 a-Si太陽電池の開発 1 はじめに 2 a-Si太陽電池の特徴 3 a-Si太陽電池の開発動向 4 a-Si太陽電池の応用 5 a-Si太陽電池の将来展望 第3章 太陽電池の高効率化 第1節 微結晶シリコン太陽電池−小さな結晶でも高効率化 1 はじめに 2 作製方法 3 微結晶シリコンの物性 4 デバイス応用 5 おわりに 第2節 シアン処理によるシリコン欠陥準位の消滅と太陽電池の高性能化 1 はじめに 2 シアン処理 2.1 水溶性シアン処理 2.2 クラウンエーテルシアン処理 3 シアン処理による単結晶シリコン太陽電池の特性向上 4 シアン処理による欠陥準位消滅 5 シアン処理で生成するSi-CN結合とその安定性 6 シアン処理による多結晶シリコン太陽電池の特性向上 7 シアン処理によるアモルファスシリコン太陽電池の特性向上 8 おわりに 第3節 カルコパイライト型化合物CuInSe2薄膜の合成とその高効率薄膜太陽電池開発の現状 1 はじめに 2 I-V-XI2族化合物CuInSe2とその薄膜太陽電池 3 CuInSe2薄膜の作製とその特性 3.1 CSVT(Closed-Spaced Vapor Transport) 法により作製したCIS薄膜と特性 3.2 MOD(Metalorganic Decomposition) 法により作製されたCIS薄膜と特性 3.3 電着(Electrodeposition)法により 作製されたCIS薄膜と特性 4 おわりに 第4章 新しい太陽光発電 第1節 光合成モデルと電子移動 1 光合成のエネルギー変換機能 2 人工光合成反応中心の構築 2.1 アンテナ系分子システム 2.2 電子移動の考え方 2.3 天然光合成反応中心 2.4 光合成反応中心モデルの構築 2.5 光合成バクテリア型の光によるATP合成 3 おわりに 第2節 フラーレンを用いた光合成型有機太陽電池の開発 1 はじめに 2 植物の光合成 3 光合成型電子移動 4 光合成型太陽電池 5 おわりに 第3節 次世代酸化チタン太陽電池の課題 1 はじめに 2 長期安定性と信頼性の確率 3 電解質の固体化 4 凝固体化方法 5 ホール輸送特性を有する電子電導体個体 6 低価格化の課題 7 色素増感型太陽電池の新市場と材料 第4節 酸化亜鉛を用いた高性能な色素増感太陽電池 1 はじめに 2 グレッツェル・セルの構造と発電メカニズム 3 酸化亜鉛太陽電池の特徴 4 有機色素を用いた酸化亜鉛太陽電池の高性能化 5 おわりに 第5節 新しい太陽光エネルギー変換材料の開発 1 はじめに 2 新しい安価な高性能太陽電池−有機色素増感太陽電池− 3 可視光応答性の水の完全分解用光触媒システムの開発 |