走査型トンネル顕微鏡 原子間力顕微鏡利用技術集成 A4版 400頁 \27,000(税別) ナノ表面研究会(1999.7.第1版第3刷) ■刊行主旨■ 走査型トンネル顕微鏡(STM)/原子間力顕微鏡(AFM)は数年前に商品化され、専門家のみならず専門家以外の人々にも広く利用されるようになってきました。しかし、実際にこれらの装置を用いて測定を行おうとすると、基礎知識、測定方法、そして解析方法などで困難を生じております。そこで、本書ではナノ表面研究会のメンバーとともにこの分野の第一線で活躍している方々に幅広く呼びかけ、上述の問題の手助けとなることを目的として、編纂いたしました。初めて利用する人、これから利用することを計画している人、そして現在利用されている人々に、本書は大変多くの知見を与えるものと信じております。 Contents ■基礎編■ 基礎編では、利用する際の基礎概念を述べるとともに、商品化を行っているメーカー装置の特徴を中心に、実際利用していく上で多くの測定プロセス及び実測例が記載されています。 第1章 トンネル顕微鏡法 1.トンネル顕微鏡とは 2.トンネル顕微鏡の原理と構造 3.STM/STSによる表面観察と原子操作 4.走査型アトムプルーブの開発 5.今後の課題 第2章 原子間力顕微鏡入門 1.原子間力顕微鏡の原理 2.原子間力顕微鏡の応用 3.AFMで何を見ているのか? 第3章 探針・表面間の原子移動と原子間力顕微鏡の機構 1.はじめに 2.強電界・強電流下での電子状態理論 3.フォーマリズムとモデル 4.計算結果 5.原子間力顕微鏡(AFM)の機構 6.解析的考察 ■応用編■ 応用編では、実際に利用していく場合での具体的応用例を、個々の専門分野の問題と照らし合わせて、具体的解析例に沿って解説していきます。 第1章 有機・生体材料の測定 第1節 AFMの薬学分野への応用 1.まえがき 2.アスピリン結晶 3.フェニトイン結晶 4.おわりに 第2節 結晶化膜のAFM及びSEM観察 第3節 走査プローブ顕微鏡による生体分子集合体の観察 1.はじめに 2.走査プローブ顕微鏡によるDNA・RNAの観察 3.走査プローブ顕微鏡によるタンパク質及び生体分子集合体の観察 4.走査プローブ顕微鏡による脂質膜・生体膜・細胞の観察 5.走査プローブ顕微鏡技術の問題点 第4節 DNA・タンパク質・生体関連物質のSTM/AFM 1.まえがき 2.初期の研究 3.STM 4.AFM 5.おわりに 第5節 液晶のSTM観察 1.はじめに 2.STMによる液晶分子の観察 3.STMによる配向膜表面の観察 4.不良解析手段としてのSTM 5.まとめ 第6節 モデル生体膜 1.はじめに 2.レプリカ膜によるリップル構造の観察 3.リン脂質を積層したLB膜の観察 4.課題と展望 第7節 ラングミュアー・ブロジェット膜のAFM観察 1.はじめに 2.LB膜の形成法と構造 3.AFM観察の実際 4.おわりに 第8節 漆塗膜表面の劣化とSTM評価 1.まえがき 2.劣化過程の解析方法 3.塗膜の劣化に伴う物性変化 4.塗膜の観察 5.塗膜の劣化に伴う化学構造の変化 6.おわりに 第2章 金属材料の測定 第1節 EC-AFMによる金属表面における電気化学過程の観察 1.はじめに 2.Au(111)面清浄表面の作成 3.AFM用の電気化学セル 4.0.1MHCIO4水溶液中、アノード分極下のAu(111)面のAFM観察 5.H2SO4水溶液中におけるAu(111)面へCuの電析初期過程のAFM観察 6.まとめ 第2節 珪素鋼板のSTM観察 1.はじめに 2.試料 3.表面形態観察と結晶方位解析 4.ECPを併用したSTMによる珪素鋼板の表面形態 5.珪素鋼板表面の酸化皮膜 6.ファセット構造の生成原因 7.まとめ 第3節 めっき表面のSTM解析 第4節 金属薄膜・多層膜の表面トポグラフィー 1.はじめに 2.実験方法 3.結果及び考察 4.おわりに 第5節 STM,TEM,SEMによる金箔の展延機構の解明 1.はじめに 2.STM,TEM及びSEMの観察実験 3.結果と考察 4.おわりに 第3章 半導体材料の測定 第1節 Si(100)表面上での金属エピタキシャル成長 1.まえがき 2.装置 3.実験結果 4.おわりに 第2節 Si上のGe膜の成長過程 1.はじめに 2.STM装置 3.Si(001)表面上のSiとGeの成長観察 4.むすび 第3節 H終端Si表面の構造解析 1.はじめに 2.H終端Si表面のSTMによる研究 3.Si(111)表面のHF系溶液によるH終端過程 4.H終端Si(111)表面のSTM原子像 5.H終端Si(111)表面のマイクロラフネス制御と酸化 6.おわりに 第4節 Si表面界面の評価と表面初期酸化過程 1.まえがき 2.シリコン酸化膜界面の評価 3.シリコン表面の初期酸化過程 4.おわりに 第5節 半導体デバイス表面の高精度AFM観察 1.まえがき 2.深針及びカンチレバー技術 3.ホッピング走査技術 4.LSI用コンタクトホールのAFM観察 5.おわりに 第6節 STMによるSi(111)-Al表面の観察 1.まえがき 2.実験方法 3.実験結果及び検討 4.おわりに 第7節 Hg1-xCdxTe半導体表面のEC-STM観察 1.まえがき 2.実験 3.結果と考察 4.まとめ 5.おわりに 第4章 無機材料の測定 第1節 SrTiO3(001)還元表面のSTMによる構造解析 1.緒言 2.実験方法 3.SrTiO3(001)表面の構造と電子状態 第2節 AFMによるセラミックスの表面観察 1.まえがき 2.セラミックスの表面・組織観察の現状 3.AFMによるセラミックス表面での破壊の観察 4.AFMによるエッチング面や破面の観察 5.AFMによる粉体表面の観察 6.さいごに 第3節 単結晶MgO表面構造解析 1.はじめに 2.AFM観察及び電子顕微鏡観察 3.結果及び考察 4.まとめ 第4節 イオン交換をした雲母のへき開面の溶媒中の観察 1.はじめに 2.実験 3.結果 4.まとめ 第5節 黒鉛層間化合物の層間構造の解析 1.はじめに 2.フッ化黒鉛層間化合物のへき開面のAFM像 3.塩化物をゲストとする黒鉛層間化合物のへき開面の構造解析 4.おわりに 第6節 強弾性体の分域構造のSTM観察 1.まえがき-強弾性体の相転移と分極構造- 2.STMとX線回析装置による強弾性体の分域観察と相転移の研究 3.今後のSTMによる相転移現象研究の展開 4.おわりに 第7節 セラミックコーティングとSTM観察 1.はじめに 2.CVDとPVD 3.CVD,PVD法の反応 4.母財材料とCVD膜との反応 5.走査トンネル顕微鏡(STM)の測定 6.STM測定結果の考察 7.むすび 第8節 フッ素雲母へき開表面及びマイカガラスセラミックス加工表面の AFM観察 1.はじめに 2.実験手法 3.結果と考察 4.おわりに 第5章 計測・解析技術への応用 第1節 STMによる固液界面構造解析 1.はじめに 2.電気化学STM装置 3.貴金属単結晶電極の清浄表面構造 4.表面の構造変化 5.吸着原子構造解析 6.半導体表面 7.おわりに 第2節 原子間力顕微鏡の電気化学への応用 1.はじめに 2.金属電極上でのUPD過程観察 3.半導体電極の観察 4.おわりに 第3節 STMによるCVD過程観察 1.はじめに 2.STMによるフィラメントCVD過程観察 3.おわりに 第4節 無電解薄膜析出過程のin situ STM解析 1.緒言 2.無電解析出法による薄膜形成 3.実験系及び観察手法 4.観察例 5.結言 第5節 AFMによるX線ホログラム像の解析 1.光学技術と表面トポグラフィー 2.X線ホログラフィー 3.X線レーザーを用いたホログラフィー 4.AFMによるホログラム読みだしと像再生 5.まとめ 第6節 成長膜表面のカイネティックラフニング 1.はじめに 2.カイネッティックラフニングとは 3.ラフネスのスケーリング解析 4.銅めっき表面 5.CVDによるW薄膜成長表面 6.まとめ 第7節 材料表面のラフネスのフラクタル解析 1.はじめに 2.自己相似フラクタルと自己アファインフラクタル 3.ラフネスの指標 4.表面の幅のスケーリング 5.パワースペクトル密度 6.解像度に関する注意 7.まとめ 第8節 STMによる破面解析(事故解析への応用) 1.はじめに 2.破壊の基礎知識 3.各種破壊様式とSTM破面模様の関係 4.まとめ 第9節 STMによる破面解析(破面のフラクタル,その理論と応用) 1.はじめに 2.フラクタルとは何か 3.フラクタル次元について 4.STM破面へのフラクタル幾何学の適用 5.最後に 第10節 節精密機械加工面の観察 1.はじめに 2.STMの位置づけ 3.STM深針 4.機械加工面の観察事例 5.おわりに ■各社の取り組み■ 第1章 メーカー総論 各社のSTM/AFM等SPM装置と特徴 1.トンネル顕微鏡とは 2.トンネル顕微鏡の原理と構造 3.STM/STSによる表面観察と原子操作 4.走査型アトムプルーブの開発 5.今後の課題 第2章 デジタル・インスツルメンツ社製Nano Scope走査型プローブ顕 微鏡(SPM)システム 1.はじめに 2.NanoScopeIIISPMコントロールステーション 3.STM走査トンネル顕微鏡 4.AFM原子間力顕微鏡 5.新しい表面情報を検出できるSPM 6.マルチモードSPMユニット 7.大型試料の観察 8.電気化学SPM 9.むすび 第3章 最新の走査型プローブ顕微鏡SP13700シリーズ 1.はじめに 2.SPI3700シリーズの特長,測定例 3.SPA350 4.おわりに 第4章 Tope Metrix TMX-2000シリーズ 1.まえがき 2.TMX-2000シリーズの概要と特長 3.TMX-2000エレクトロニクス制御システム 4.計測ステージモジュール 5.SPMの応用測定モード 6.AFMカンチレバー 7.オープンアーキテクチャー 第5章 島津超高真空走査型トンネル顕微鏡AIS-900島津雰囲気制御 走査型トンネル顕微鏡WET-901 1.はじめに 2.超高真空走査型トンネル顕微鏡AIS-900 3.雰囲気制御走査型トンネル顕微鏡WET-901 4.むすび 第6章 日本電子製UHV-STMの特徴 1.はじめに 2.UHV-STMの特徴 3.装置の機能と構成 4.応用例 5.おわりに 第7章 ドイツOMICRON社製UHVコンバインドAFM/STM 1.まえがき 2.UHVコンバインドAFM/STM 3.おわりに 第8章 オリンパス光学工業社製OSTM及びNV2000 1.まえがき 2.OSTM 3.NV2000 4.カンチレバー 5.おわりに 第9章 ユニソク製走査トンネル顕微鏡と関連製品 1.大気中STM(USM-201,202型) 2.真空中極低温STM(USM-203型) 3.超高真空STM(USM-301,401型) 4.超高真空,極低温STM(USM-501型) 5.超高真空,多目的STM(USM-601型) 6.超高真空STM/AFM(USM-701型) 7.特注システム 8.各種付属装置 ■新技術及び今後の展開■ ここでは、新技術及び今後の展開として、最近話題になっている新しい技術、そして今後の展望を筆者らの主観を含めて執筆していただいています。 第1章 走査型プローブ顕微鏡の開発 1.走査型プローブ顕微鏡(SPM) 2.走査型原子間力/トンネル顕微鏡(AFM/STM)-AFMとSTMの複合化- 第2章 電子のスピン情報を得るSPMの可能性 1.はじめに 2.電子スピン共鳴(ESR)画像 3.トンネル電流によるラーマー周波数の測定 4.マイクロ波励起ESR-STM 5.これからの展望 第3章 STM,AFMの周辺機器の開発と走査型プローブ顕微鏡の 今後の発展動向 1.まえがき-表面物理関連機器等とその今後の発達- 2.走査型プローブ顕微鏡(SPM)の現状と今後の動向 3.STM,AFMの周辺機器の開発と応用 4.おわりに 第4章 高温でのSTM構造解析 1.はじめに 2.高温UHV-STM装置開発 3.高温UHV-STMの観察方法 4.Si(111);(7×7)−(1×1)構造相転移の観察 5.Si(111)表面の原子ステップ移動観察 6.おわりに 第5章 蛍光顕微鏡・原子力間顕微鏡一体型システムの開発・製作 1.はじめに 2.顕微鏡の主要構成 3.制御システムなど 4.観察 5.今後の展開 第6章 分子間力顕微鏡の開発 1.はじめに 2.実験方法 3.結果と考察 4.まとめと今後の展開 第7章 STMによる表面励起反応を用いた原子微細加工 1.まえがき 2.STM-EBISEDによる微細加工 3.電界蒸発による原子微細加工 4.おわりに 第8章 AFMによる表面微細加工 1.はじめに 2.AFMチップを用いる材料表面の加工 3.おわりに |