マテリアル インテグレーション 2006年5月号
セラミックスのグリーンマニュファクチャリング


今後のプロセス技術は-特集にあたって
産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 先進焼結技術研究グループ長 渡利 広司

我が国のセラミックス産業は,自動車産業や電子・デバイス産業等広範囲な分野へ様々な部材を供給し,製造業の競争力強化に大きく貢献している.また,近年コーディエライトや炭化ケイ素多孔体を利用した自動車用排ガス浄化フィルター,$\beta$-アルミナ固体電解質によるNAS電池等が製品化される等,セラミックスは環境保全材料として大いに期待されている.

セラミックスの製造工程を眺めてみると,乾燥・焼成時における多大なエネルギーの消費とそれに伴うCO\un{2}ガスの排出や環境ホルモンの発生,原料調整・成形時における有機溶媒の使用,水質汚染等環境への負荷は依然大きい.諸外国を凌駕する技術力及び高い産業競争力を有する我国のセラミックス産業は,今後世界のリーダーであり続けるためにも環境負荷を低減するプロセス技術,グリーンマニュファクチャーリングの構築や開発が急務である.

産業技術総合研究所 先進焼結技術研究グループはセラミックスの製造工程における種々の環境負荷問題を解決するために,グリーンマニュファクチャーリングについて議論を重ねるとともに研究開発を進めている.本特集号では,産総研のみならず国内の大学や企業において,低環境負荷を目指したセラミックスプロセスの開発を進めておられる先生方にも執筆を御願いし,当該技術における最近の動向について解説を頂いた.

本特集号を通じて,今後のセラミックスプロセス技術の発展,さらには我が国の産業技術の革新に少しでも貢献できることを願う次第である.