マテリアル インテグレーション 2002年8月号
特集 21世紀の物質・材料科学技術


巻頭言
(独)物質・材料研究機構 理事長 岸 輝雄

 皆様,こんにちは.独立行政法人 物質・材料研究機構(NIMS)理事長の岸輝雄です.このたびはマテリアルインテグレーション誌にて,当機構の特集号を組んで頂けるという好機に恵まれました.
 NIMS は文部科学省所轄の物質・材料系の研究機関である金属材料技術研究所と無機材質研究所の統合及び独立行政法人への組織転換により平成13年4月1日に発足しました.独立行政法人化により,予算にも人員にも各法人の裁量が大きくなり,より効率的に研究活動が行えるようになりました.これまで両研究所は金属材料及びセラミックス分野において我が国の先導的役割を果たしてきており,ともにCOE(中核的研究拠点)に指定される等,その役割が大いに期待されてきました.機構としては,これまで両研究所で培ってきた知見を活かしつつ,統合による総合的推進が必要な分野(ナノ材料,超伝導材料,生体材料,環境対応材料等)に取り組むとともに,国民の安全・安心を材料の立場より追求し,さらに有機材料などの新たな分野にも積極的な取り組んでいます.
 研究組織としては,基礎的・基盤的な研究を進める物質研究所,ナノマテリアル研究所,材料研究所の3基幹研究所と,特定のミッションを遂行するための6つのセンター,2つのステーションからなっています.
 今後は産学官連携の下,共同研究や研究者交流を大いに進め,「使われてこそ材料」の理念を踏まえ,ベンチャー創設や特許の実施をはじめとした成果の活用等にも積極的に取り組んでゆく予定です.さらに,国際的な連携を強化するための諸制度の整備を進めております.オーストラリアのクイーンズランド大学やドイツのマックスプランク金属研究所とも提携の覚え書きを交わすなど連携を強化しています.21世紀において我が国が激しい国際競争に耐え抜くためには,科学技術,とりわけ基盤としての物質・材料科学技術の推進は最重要課題であり,それを遂行する各研究者への期待は大きなものがあります.
 統合からまだ1 年半ですが,当研究所は大きく変化しています.この研究所で研究したい,NIMS の特許を利用したい,技術相談を受けたい,共同研究を実施したい,などがございましたらお気軽にお問い合わせください.
URL http://www.nims.go.jp