「MATERIALS INTEGRATION」編集代表より

 高度に発達した現在の豊かな日本社会が、高性能で高信頼性で安価な「物作り」に基礎を成してきたことは衆知の通りです。しかし、物作りの原点である新しい材料・デバイスの開発の環境はドラスティックに変わりつつあり、最近では材料・デバイスの評価に安全的要素、感性的要素、環境負荷性を加えざるを得ない状況になり、今までにある程度収まりつつあった材料間・材料内の住み分けが再び動き始めようとしています。

 物作りにおけるこの様な環境の変化に対応するためには、材料・デバイスの選択あるいは開発に際しての基本姿勢を変えることが必要となります。すなわち、今後の材料の選択・開発においては、少なくとも環境負荷性を考慮した上で実現が強く求められるシステム・デバイスに先ず焦点をあて、その実現に必要な部品の性能・機能を考え、それに従って材料の選択あるいは開発を進めることが大切になります。

 「MATERIALS INTEGRATION」では、現実にまた近未来に実現する事が強く求められているシステム・デバイス側に力点を置き、目標機能を充足させるための材料(機能)の効率的な積み上げ・組み合わせ方法、高付加価値を達成できる材料の設計戦略、それらの適用のための工夫・技術に関する記事を多く取り上げ、時代の要求に即した内容にしたいと存じます。

「MATERIALS INTEGRATION」編集代表
新原 晧一(長岡技術科学大学 学長)
一ノ瀬 昇(早稲田大学 理工学部 名誉教授)